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楽曲制作のプロの定義
楽曲制作において、プロとアマチュアの定義は曖昧であり、明確な違いというものはありません。
とは言え一般的には「音楽だけでお金を稼いで生活している人がプロ」というのが通説です。
もちろんアマチュアでもハイクオリティな作品を生み出し、高く評価されている人もいます。
しかしコンンテンツに適した楽曲制作や、クライアントなど人が多く関わる大規模なプロジェクトになるほど、やはりプロのクオリティが数段上であることが多いです。
単純に手掛ける作品のクオリティも違いますが、プロは現場で培った高い理解力・コミュニケーション能力などによって、楽曲制作工程自体がスムーズに進行します。
この記事では楽曲制作におけるプロとアマチュアの具体的な違いについて取り上げているので、参考にしてみて下さい。
【作曲?演奏?ミックス?】何が得意かを明確にする
楽曲制作と一口に言っても、作曲・編曲・レコーディング・ミキシング・マスタリングなど、さまざまなカテゴリーがあります。
プロと言っても得意・不得意な分野があり、全ての作業を万能にこなせるわけではありません。
特に作曲・編曲などの曲作りと、ミキシング・マスタリングなどの編集作業は、必要とするスキルが大きく違います。
もちろん作曲からマスタリングまでハイクオリティに手掛けるプロもいますが、全ての分野ができなければプロというわけでもありません。
自分の苦手な分野を請け負って評価を落とさないためにも、プロは自分の得意な分野を明確にしています。
楽曲制作を依頼する際、今まで何を専門としてやってきたかを確認するのが1つのポイントです。
- 作曲とはコード・メロディ・構成など曲の骨組みを作ることです。
- 編曲とは作曲段階の骨組みに加える楽器やフレーズなどを決める作業です。
- レコーディングとは音源化するために高音質で録音することです。
- ミキシングとはレコーディング後の各楽器の音質補正やリズム修正などの編集作業です。
- マスタリングとはミキシング後の2Mixの音質・音圧を整えて最終調整する作業です。
【スキル】十分な実績と知識を持っている
プロには、アマチュアにはない現場で培った高いスキル・知識を持っています。
プロは誰でも厳しい下積み時代があり、そういった過酷な制作環境によって精神・スキルなどが鍛えられている人がほとんどです。
その中で培った作業スピード・確かな耳・知識などのスキルはプロの大きな武器と言えます。
例えばプロのミキシングエンジニアであればクライアントからの
クライアント
というような要求にも非常に素早く対応します。
また、プロは楽曲制作のみで収入を得ているので手掛ける作品数も多く、十分な実績がある人が多いです。
楽曲制作を依頼するなら、その会社・個人が過去に手掛けた曲をチェックしておきましょう。
【意識】クライアントの要求に応えることができる
プロとアマチュアの仕事における大きな違いの1つが、クライアントから要求されるプロジェクトの目的達成度です。
プロの楽曲制作者の中には、クライントの目的を実現するということを1番重要視している方が多い傾向にあります。
クライアントの要求にしっかり応えることで次の仕事に繋がり、人の幅が広がりやすくなるからです。
クライアントの要求に100%応えるためには、十分なスキル・知識はもちろん、高い理科力や柔軟な発想なども求められます。
アマチュアはクライアントの要求より自分の好みを優先したり、そういったスキルや実績を持っていない方が多いので、プロジェクトの目的達成度が低い場合が多いです。
【熱意】責任を持って仕事ができる
プロとアマチュアの違いにおいて、クライアントなど楽曲制作に関わる人達に対して、熱意を持って責任ある仕事ができるかというのも1つのポイントです。
収入源が音楽のみのプロにとって稼ぐことが重要であり、信頼性がそれに大きく関わることを知っています。
クライアントもプロの場合、お互いが求める結果に責任が持てるかが大切です。
対してアマチュアは企業案件などが少なく、身内や普段から仲の良い人達からの依頼など、プロとしての対人関係を必要としないことが多くあります。
そのため、責任の持ち方や心構えなどがプロと比較すると劣っていることが多いです。
また楽曲制作を依頼する場合は、業務委託契約書を提示してくれるかや、著作権についてしっかり説明できるかで責任性を判断するとよいでしょう。
【意思の疎通】高い理解力とコミュニケーション能力
クライアントの要求にしっかり応えるという点で、非常に重要なのが高い理解力とコミュニケーション能力です。
意思の疎通がしっかり取れるかがプロジェクトの達成率に影響し、作業スキルとは別のスキルを必要とします。
プロ・アマ含めて多くのクライアントと関わっているプロの楽曲制作者は、その実績によってコミュニケーション能力と理解力が高いです。
例えば
クライアント
クライアント
のような音楽的な知識があまりないクライアントの抽象的な要求にも、自分の経験や柔軟な発想から要求されていることを素早く正確に理解することができます。
また、プロの現場では専門用語・業界用語・定番の作業の流れなどがあるので、アマチュアは正確に理解できないことが多いです。
【ちゃんと稼いでる?】制作環境の充実
プロとアマチュアが手掛ける作品には音質的な差があります。
その原因の1つが制作環境の充実具合いです。
プロの制作環境は機材が充実しているので、高音質であることや素材や要求に応じた臨機応変な作業ができます。
AIの向上などによってソフトウェアが大幅に進歩し、アマチュアでもそれなりの機材を揃えることができるようになりました。
とは言え、やはりプロの制作環境と比較すると機材の質や量で劣り、それが原因で楽曲の仕上がりに差が生じます。
個人でプロの楽曲制作スタジオと同等の機材を揃えるには、経済的な理由から非常に難しいです。
アマチュアでもプロと同等のスキルを持った方はいますが、制作環境が不十分で楽曲のクオリティが上がらないということがあります。
【時間】楽曲制作に費やす時間と労力
プロは音楽だけが仕事なので、楽曲制作に時間と労力をかけることができます。
対してアマチュアはメインの仕事などがあるので、楽曲制作に費やす時間と労力がプロより限られることが多いです。
この楽曲制作に費やすことができる時間と労力が、そのままスキルや意識に反映される傾向にあります。
【仕事】音楽をビジネスとして割り切れている
プロとアマチュアの意識の差で大きいのが、音楽をビジネスとして割り切れているかどうかです。
プロは私情を挟まず、楽曲の完成度やクライアントからの要求を優先的に考えます。
対してアマチュアは、クライアントからの要求に応えようとしても、心のどこかで自分の考えを優先してしまいがちです。
その意識の差が作品のクオリティやプロジェクトの達成率に影響を与えてしまいます。
楽曲制作会社を選ぶ際、打ち合わせの段階で期限・コンセプト・どの層に向けた楽曲かなど、具体的なことを気にしてくれるところがおすすめです。
プロとアマチュアのクオリティの壁
プロが生み出す音楽とアマチュアが生み出す音楽にはクオリティの壁があります。
さまざまな要因によって差が生じますが、ポイントの1つが良い音を作るという点での考え方です。
プロは音を引くことで良い音を作ろうとします。
対してアマチュアは音を足して良い音を作ろうとするのが特徴です。
プロは音が増えれば増えるほど全体像がごちゃついて音質が悪くなることを知っています。
例えばミキシングの仕方1つでも、
アマチュア
プロ
アマチュア
プロ
のように発想に違いがあります。
プロとアマチュアの違い比較一覧表【20項目】
下記の表はプロとアマチュアの具体的な違いの例をまとめたものです。
項目 | プロ | アマチュア |
①楽曲へのこだわり方 | 曲全体の影響度が大きい要素から優先する | 影響度が少ない細部に必要以上にこだわる |
②トラック | 無駄がなく聴かせたい楽器の意図が明確 | 無意味なトラックや上モノが多い |
③ミキシングの考え方 | 録音段階から上質な素材にこだわる | 質の悪い音もミキシングでなんとかなると思っている |
④コンプレッサー | 意図を持って適切にかける | かけ過ぎて音が埋もれて抑揚がない |
⑤耳 | 音質・音量・音程・リズムを明確に聴き分ける確かな耳を持っている | 致命的な音のぶつかりなどにも気付かない |
⑥音楽理論の考え方 | 音楽の幅が広がると理解している | 制約が生まれて独自性がなくなると思っている |
⑦音に対しての考え方 | 生もののように考えて扱う | 機械的に考えて扱う |
⑧制作方法 | DTM以外にも楽器を使用する | 全てDTM上でなんとかしようとする |
⑨念頭にあること | 楽曲が求める音に仕上げる | 自分の好みの音に仕上げる |
⑩良い音の作り方 | 引き算メインで音を作る | 足し算メインで音を作る |
⑪日頃の音楽の聴き方 | あらゆるジャンルを楽器・フレーズの意図を考えながらエンジニアとして聴いている | 自分の好きな音楽だけリスナーとして気持ちよく聴いている |
⑫売れているアーティストに対して | 自分の好みに関係なく客観的にトレンドや魅力を理解して仕事に活かす | ミーハーが嫌で安易に批判する |
⑬機材のアップデート | 互換性を気にしつつ安定した環境を重視して期間を設けてアップデートする | 今より快適になると安易に考えてすぐにアップデートする |
⑭ファイルの管理 | バックアップなどを取って徹底している | トラブルは起きないと高を括っていい加減に管理している |
⑮機材トラブルへの備え | 最低限のサブシステムを容易している | 解決策がなく作業を中断するしかない |
⑯時間のかけ方 | すぐにすべきことのポイントを掴んで短時間で済ませる | 何度も聴かなければすべきことが分からない |
⑰機材の買い方 | 必要なものだけを必要なときに買う | セール品のみを狙って買う |
⑱機材の選び方 | 経験や客観的なデータから重要なものを選ぶ | 商品レビューのみに左右される |
⑲音源プリセット | 多様せず必要に応じてエディットして使う | そのまま使用する |
⑳作業の効率 | 使いまわせるプロセスは保存して効率化する | 毎回1から始めようとする |