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ポートレート撮影におすすめのレンズと機材
ポートレートという言葉は、元々「肖像画」を指す言葉であり、人物を被写体のメインに据え、細部まで美しく表現する撮影ジャンルです。
今回はポートレート撮影にオススメのレンズと機材を紹介します。
ポートレート撮影にはフルサイズ機がおすすめ
フルサイズ | APS-C | マイクロフォーサース | |
背景のぼけ | ◎ | 〇 | △ |
価格 | △ | 〇 | 〇 |
小型軽量化 | × | 〇 | ◎ |
高感度耐性 | ◎ | 〇 | × |
ラインナップ | ◎ | ◎ | △ |
一般的なデジタル一眼カメラのイメージセンサーのサイズには以下の種類があります。
- フルサイズ
- APS-C
- マイクロフォーサーズ
この中でもフルサイズ機は、被写界深度が最も浅く背景ボケを作りやすいため、ポートレート撮影におすすめです。
背景をぼかすことで被写体と背景を切り離し、被写体をより一層目立たせることができます。
また、同じ画素数なら1画素あたりの画素サイズが大きいため、映像素子により多くの光を取り込むことができます。
これにより、美しい画像を得られることができ、暗所でもシャッタースピードを稼げるため、高感度耐性が高いことが特徴です。
ポートレート(人物・肖像)撮影のレンズの選び方
焦点距離
一般的にカメラのレンズは明るく(F値が小さく)焦点距離が長くなるほど、被写界深度を浅くすることができます。
ポートレート撮影では
- 50mm
- 85mm
- 105mm
- 135mm
などの焦点距離の中から選ばれることが多く、なかでも85mmが最も使用されています。
85mmの焦点距離が一番使われる理由
- 人物描写ときれいな背景ボケを両立できる
- 被写体との距離が程良く離れているため、圧迫感を与えない
- バストアップの構図にちょうど良く、顔の細部や表情を美しく撮影することができる
これらの理由から、多くのポートレートカメラマンに好まれている焦点距離です。
低いF値が超重要(明るさとボケ味)
F値が小さいレンズは被写界深度が浅くなるため、背景ボケを作りやすいのが特徴です。
また、暗い場所でもより多くの光をイメージセンサーに集めることができるため、シャッタースピードを稼ぐことができ、手ぶれをしづらくする効果が見込めます。
単焦点レンズのメリットとデメリット
単焦点レンズのメリット
- 明るい(F値が小さい)レンズが多い
- ズームレンズと比べて価格が安い
- ズームレンズと比べて軽量
単焦点レンズは、ズームレンズよりも構造が簡単なため、明るいレンズが多く価格も比較的安価です。
但し、焦点距離を変えられないため、常に被写体との距離を一定に保つ必要があります。
これはスタジオなどではあまり問題になりませんが、移動できる場所に制限のある屋外などでは注意が必要です。
単焦点レンズのデメリット
- 被写体との距離を一定にできない場合、複数本を用意する必要がある
単焦点レンズ1本だけで撮影するのはかなりの経験が必要になるため、事前のロケハンや複数の単焦点レンズを用意するなどの対策が必要です。
ズームレンズのメリットとデメリット
ズームレンズのメリット
- すぐに焦点距離を変更できるため、柔軟な撮影が可能
ズームレンズのデメリット
- 構造が複雑なため、単焦点レンズよりも大きく重く、価格も高い
ズームレンズは構造が複雑なため、単焦点レンズよりも大きく重くなる傾向があります。
また、安価なズームレンズは暗い物が多く、ズーム全域で明るいレンズはかなり高価です。
人物が歪む広角レンズはNG
広角レンズは、レンズの端に行くほど歪曲収差が生じ、直線が大きく曲がってしまいます。
このため、顔が歪んでしまう原因となることがあるので、足を長く見せるなどの効果を意図していない限り、ポートレート撮影での使用は避けた方が良いでしょう。
【鉄板】ポートレート撮影におすすめのレンズ|SONY
ポートレート撮影におすすめのSONY製レンズをまとめました。
【単焦点レンズ】SONY FE 85mm F1.4 GM
F1.4の明るいレンズで、ポートレート撮影で使いやすい85mmの焦点距離です。
GMレンズらしく、美しく主張しすぎない背景ボケを作ることができる、まさに「ポートレートレンズ」といった表現が相応しいレンズです。
【単焦点レンズ】SONY FE50mm F1.4 GM
重量約516gのコンパクト・軽量タイプのF1.4のレンズです。
50mmは人間の視野角に最も近いと言われる焦点距離で、ポートレート撮影はもちろん、風景や動画にもおすすめできる汎用性が魅力です。
GMらしい圧倒的な解像度と美しい背景ボケでとても扱いやすいレンズです。
【ズームレンズ】SONY FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
70-200mmの望遠レンズとしては軽量な約1,045gで、ズームでレンズ長が変化しないインナーズーム式を採用しています。
F2.8通しのいわゆる「大三元レンズ」で、光学式手ぶれ補正機能も内蔵しています。
ポートレート撮影のコツ
光と影にこだわる
ポートレート撮影のコツは、背景ボケを活かすことはもちろんですが、光の当て方と影の出し方に注意しましょう。
光の当て方や影の出し方で出来上がる写真の印象は大きく変わります。
おしゃれな感じを出したり、もの悲しさ、人の温かみなどを表現したりと、光源の種類と当てる角度にもこだわってみましょう。
ストロボは必要?
最近のカメラはかなり暗所に強いのでストロボの必要性をあまり感じないかもしれません。
しかし、ストロボを使用することにより、ハイスピードシンクロや、敢えて影を作り陰影を強調するなど、環境光だけでの撮影では決してできない表現方法があります。
環境光での撮影に慣れてきたら是非、ライティングにもチャレンジしてみましょう。
ポージングとコミュニケーション
ポートレート撮影が他の撮影ジャンルと大きく異なる点は、被写体が人間であることです。
被写体が撮影者の意図を汲んで動いてくれる能動的な存在であることが、他のジャンルの被写体にはない大きな特徴です。
しかし、被写体が慣れていない場合、緊張から表情が固くなり、記念撮影のような印象の写真になりがちです。
このような状況を克服するためには、被写体と適切にコミュニケーションを取ることが重要で、より自然な表情や撮影意図に合ったポージングを引き出すことができます。