カメラ三脚は必要?どんな撮影の時に使うの?
- 星景や花火など低光量下での撮影
- マクロ撮影
- 動画撮影
- タイムラプス
- 重いレンズを使用する場合
- 物撮りなど同じ構図で撮影したい場合
上記に挙げた以外にも、三脚が具体的な撮影方法は多岐にわたりますが、その理由は主に以下の2点に集約されます。
- 手ブレを防ぐ
- カメラを定点に固定する
このように三脚は、手ブレを防止し、カメラを一定の位置に固定するという2つの主要な役割を持っています。
写真撮影の幅を大幅に広げてくれる機材です。
カメラ三脚の種類
カメラ三脚の種類について、アルミ製やカーボンといった素材毎の特徴や、ミニ三脚やトラベル三脚といった用途による違いについて解説します。
素材による違い
アルミニウム | カーボンファイバー | |
軽量性 | △ | 〇 |
剛性 | △ | 〇 |
熱伝導率 | 〇 | 〇 |
振動対策 | × | 〇 |
価格 | 〇 | × |
アルミニウム製
アルミニウムは金属の中でも軽量であり、三脚の製造に広く使用されています。
アルミニウム製の三脚のデメリットは、カーボンファイバー製に比べて剛性が低く、熱伝導率が高いことです。
高い熱伝導率のため、寒冷地や高温な環境では三脚が極端に冷えたり、熱くなりすぎて触ることが困難になることがあります。
逆に、メリットとしては価格が比較的低いため、入門用から広く採用されています。
カーボンファイバー製
カーボン製の三脚のメリットは、軽量で剛性が高く、さらに腐食にも強いことです。
加えて、振動に対する耐性も高く、一度揺れてしまっても振動が早く収まります。
デメリットとしては、価格が高い点と、衝撃に対しては脆く、容易に割れてしまう可能性があることです。
用途による違い
三脚の種類 | ミニ三脚 | トラベル三脚 | ビデオ三脚 | 一脚 |
軽量性 | ◎ | 〇 | × | ◎ |
強度 | × | × | 〇 | × |
安定性 | △ | × | 〇 | × |
振動対策 | × | × | 〇 | × |
携帯性 | ◎ | 〇 | × | ◎ |
高さ調節 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
価格 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
大型機材 | × | × | ◎ | × |
ビデオ撮影 | × | × | ◎ | △ |
ミニ三脚
ミニ三脚とは、卓上に設置できる小型の三脚を指します。
極めて小型で軽量なため、カメラバッグに容易に収まり、持ち運びが煩わしくありません。
その一方で、高さが調整できない、または限定されている点が欠点です。
トラベル三脚
トラベル三脚は、その名の通り、旅行や外出での携帯性を重視して設計されたコンパクトな三脚です。
携帯性が最優先で設計されているため、一般的な三脚と比べて安定性や剛性が劣ることが多いのが特徴です。
ビデオ三脚
ビデオ用三脚は、主にビデオ撮影用の雲台と併用することを前提に設計されていますが、三脚自体は「載せるだけ」の装置であり、写真用三脚との根本的な違いは存在しません。
一般的に、重いビデオ機材を安定してパンやチルト操作ができるよう、剛性と安定性が最優先で設計されています。
一脚
一脚は、動く被写体を追いかける撮影に便利で、一脚を軸にして上下のブレを抑制できます。このため、重い望遠レンズを使用するスポーツや野生動物の撮影によく用いられます。
ただし、脚が一本しかないために自立はできず、横のブレを防ぐことはできないので、低シャッタースピードでの撮影には不向きです。
自分に合ったカメラ三脚選び方
カメラ三脚の選び方は、主に撮影スタイルや撮影環境で大きく異なります。
耐荷重や軽量性、足の段数など様々な視点から選び方を紹介します。
雲台について
三脚本体と同じくらい雲台の性能が重要です。
三脚は「カメラを支えること」が役割ですが、雲台は「カメラを固定する」役割があります。
三脚が対荷重性能に優れていても、雲台の対荷重性能が不足していると、カメラをしっかりと固定することはできません。
微調整の精度にも差が出るため、三脚の性能と同等の注意を雲台にも払いましょう。
耐荷重で選ぶ
多くの三脚メーカーが公表する耐荷重は、メーカー独自の計算方法に基づいており、統一された計算基準はありません。
理想的には、GitzoのようにUNI安全耐荷重規格など、共通の基準に基づいて耐荷重を計算するべきですが、
実際には、公表された耐荷重の1/2~1/3が安全な目安とされています。
耐荷重限界に近い重量の機材を使用すると、三脚が転倒するリスクがあるため、注意が必要です。
軽量性で選ぶ
軽量性は大きなメリットであり、三脚の持ち運びが容易になるため使用頻度も上がります。
しかし、軽い三脚は剛性や安定性が犠牲になることが多いため、軽さと剛性のバランスを考慮することが重要です。
脚の段数で選ぶ
脚の段数が多いほど、三脚はコンパクトに収納可能であり、特にトラベル三脚では5段や、中には6段という製品も存在します。
ただし、段数が多くなると脚の先端部分が細くなるため、その結果、剛性や安定性が犠牲になる傾向があります。
脚のロックで選ぶ(ナットロックかレバーロック)
- ナットロック式のメリット
- 構造が簡単でメンテナンスしやすい
- 凹凸が少ないため搬送性、保管性に優れている
- レバー式のメリット
- 同時に脚をロックできるため脚の伸縮の手前が少ない
- ロック状態を目視で確認しやすい
三脚のロック方法には、ナットロック式とレバーロック式の二種類が主流です。
ナットロック式は構造がシンプルであるため、メンテナンスが容易で、凹凸が少なく搬送や保管にも優れています。
一方で、レバーロック式のメリットは、脚の伸縮に手間がかからず、ロック状態を目視で確認しやすいという点です。
センターポールの有無で選ぶ
- センターポールのメリット
- 高さを稼げる
- センターポールのデメリット
- 剛性が不足する
- 携帯性に劣る
センターポールとは、三脚の中心部分に位置する、エレベーター式に伸縮するポールを指します。
このポール部分は剛性が若干不足する場合があり、それが手ブレにつながると指摘されることもあります。
対照的に、センターポールレスの三脚は、ポールを介さないために剛性が高く、また胴回りが細いため携帯性に優れています。ただし、高さを稼ぐのが難しいというデメリットがあります。
俯瞰撮影出来るかどうかで選ぶ
俯瞰撮影とは、被写体を真上から撮影する手法を指します。
三脚を使う場合、その脚の真下に被写体を配置するか、三脚にアームを取り付けて俯瞰の角度で撮影する方法が一般的です。
料理や置き撮りなどをした場合には、俯瞰撮影が可能な三脚を選びましょう。
おすすめのカメラ三脚メーカーは?
コストパフォーマンスに優れたメーカーから名門メーカーまで、国内外のおすすめの三脚メーカーを紹介します。
Gitzo(ジッツオ)
「三脚の王様」とも呼ばれるGitzoは、フランスで創業され、現在はManfrottoなどを傘下に持つイタリア企業の一部となっています。
安定性、操作性、および品質に一切の妥協がない高品質の三脚を製造しており、多くのプロの写真家から愛用されています。
Gitzoの製品は高価ではありますが、その丈夫さと長寿命を考慮すると、長期的には出費を抑えられるため、ライフサイクル全体を考慮すると高いコストパフォーマンスがあると言えます。
三脚を設置した際の安定性と剛性も卓越しており、その品質は明らかです。
Manfrotto(マンフロット)
Manfrottoはイタリアに拠点を置く写真機器メーカーであり、三脚をはじめとしてカメラバッグや照明機器も製造しています。
多くの製品が優れた重量バランスを持ち、扱いやすいと評価されています。
特に、Manfrottoの自由雲台は一瞬で固定が可能なだけでなく、微調整も得意とする製品が揃っています。
Leofoto(レオフォト)
Leofotoは中国に拠点を置く新興の撮影機材メーカーで、「良いものを安く」をモットーに、高品質な製品を手頃な価格で提供しています。
特に三脚のレンジャーシリーズは有名であり、防水・防砂機能を備えたものからエレベーターレスの三脚まで、多様なラインナップを持つのが特徴です。
Velbon(ベルボン)
Velbonは60年以上の歴史を誇る日本の三脚メーカーで、現在はハクバ産業がブランドを所有しています。
日本の代表的な三脚メーカーとして、各種の三脚において大きさ、軽さ、価格のバランスがよく取れた設計を提供しています。品質も高いものが多いと評価されています。
三脚ボディには軽量金属マグネシウム製のものもあり、ロック方式には、先端をひねるだけで全段がロックできる「ウルトラロック」を採用している製品もあります。
SLIK(スリック)
SLIKは日本の写真機材メーカーです。
三脚の価格帯は数千円~9万円くらいまでと幅広い価格帯の商品を展開しています。
最近の三脚は10万円超えというものも珍しくなくなっていますが、その中でSLIKは、上位モデルでも購入しやすい価格帯なので、コストパフォーマンスに優れています。
カメラ三脚ネジの規格とサイズ
三脚↔︎雲台 | 雲台↔︎カメラ | |
海外メーカー | 3/8インチ | 1/4インチ |
国内メーカー | 1/4インチ | 1/4インチ |
三脚と雲台を繋ぐねじサイズには地域による違いがあり、外国メーカーは一般的に3/8インチ(9.5mm)ねじを使用していますが、国内メーカーでは1/4インチ(6.5mm)が主流です。
一方で、カメラと三脚を繋ぐネジサイズは、世界共通で1/4インチ(6.5mm)が用いられています。
最近の三脚には1/4インチと3/8インチの両方に対応したネジや変換アダプターが付属していることが多く、これによりねじサイズによる問題は少なくなっていますが、購入時には付属するネジのサイズに注意が必要です。
ネジのサイズが合わないときは変換アダプターを使用
ネジのサイズが合わない場合には変換アダプターを使用しましょう。
1/4インチから3/8インチへ、またはその逆方向への変換を可能にするものがあります。
しかし、各アダプターの全長が異なる場合がありますので、特に複数の機材を接続する場合などには注意が必要です。
カメラ三脚をもっと便利に使う機材
工具類やキャリングケースなど、カメラ三脚の利便性を向上させ、撮影効率が上がる機材を紹介します。
SmallRig 折りたたみドライバー、レンチセット
必要な工具が一つのアイテムにまとまっているため、カメラバッグの中でスッキリと収納可能です。
これにより紛失のリスクが低減し、取り出しも容易であり、非常に便利です。
カメラ三脚キャリングケース
三脚を携帯する際には、保護の為にキャリングバッグでの運搬が理想的です。
しかし、ケースを購入する際には、三脚のカタログに記載されている長さだけで選ぶと、雲台を取り外さなければ収納できなくなる可能性があります。
そのため、雲台も含めた全長を計測してから購入することがおすすめです。
石突(いしづき)を交換する
三脚を岩や砂地、氷上などで安定させるためには、スパイク型の金属製の石突に交換することが効果的です。
この状況は自動車のタイヤに似ています。
路面の状況とタイヤの素材や性能によって、乗り心地や安定性が大きく変わるため、写真撮影でも三脚の「足元」は重要です。