ミキシングとは?なぜ必要なの?【楽曲制作】

楽曲制作のミキシングとは

ミキシングとは

ミキシング(ミックス)とは、楽曲制作における作業工程の中の1つであり、レコーディング完了後の複数のトラック(楽器)を編集する音作りのことです。

Pro Tools・Cubase・LogicなどのDAWと呼ばれる音楽編集ソフトを使用し、各楽器の音量・音質・タイミング・音の定位などを調整します。

リスナーに良い音を届けるための、楽曲制作において欠かすことのできない重要な工程です。

ミキシングとマスタリングの違い

ミキシングとよく一緒にされることがあるマスタリングですが、この2つは全く異なる作業内容です。

ミキシングが各トラックを編集していく作業であるのに対し、マスタリングはミキシング完了後の2Mixを編集する作業のことを言います。

MEMO
ミックス完了後の1つのステレオトラックのことを2Mixと呼び、2Mixにまとめることをミックスダウンと言います。

マスタリングの主な作業内容は、全体の音圧・音質・曲間の調整・CD化に必要なPQコードやDDPファイルの作成です。

楽曲を市販のCDや一般公開するまでに必要な流れは次の通りです。

STEP.1
作詞・作曲

まずはじめに、テーマに沿って作詞と作曲を行ないます。

作曲と作詞のどちらから先にはじめるかは人それぞれです。

STEP.2
編曲

作曲でできあがった骨組みに付け足す楽器・フレーズなどを決めます。

STEP.3
プリプロ

バンドでフレーズ確認や音作りのイメージをするため、レコーディング前に簡易的なレコーディングをする作業です。

編成や楽曲次第で省略される工程です。

STEP.4
レコーディング

実際に音源化していく中での最初の工程です。

ドラムやベース・ギター・ボーカルなどを、さまざまな機材を使用して高音質に収録します。

ボーカルがなく、楽器が全て打ち込みの場合は必要ありません。

STEP.5
ミキシング

レコーディング後の各トラックを編集する作業です。

主に音質・音量・定位の調整やリズム・ピッチ修正などを行ない、楽曲の完成度を高めていきます。

STEP.6
マスタリング

プレス業者へ納品前の最後の工程で、ミキシング後の1つのステレオトラックを編集する作業です。

全体の音圧・音質を調整し、明瞭で迫力あるサウンドへ完成させます。

CD化が不要な場合は、この段階でデータを受け取って完了です。

STEP.7
プレス業者に納品

CD化するのであれば、プレス業者に納品します。

このように楽曲を公開するまでには、さまざまな工程が必要です。

ミキシングもマスタリングも、高品質なサウンドに仕上げるための欠かせない作業です。

ミキシングはなぜ必要なのか?

ミキシングとは

現在ではCDやYouTubeをはじめとした動画サイトなど、さまざまな形でリスナーへ音楽を届けることができます。

しかしどんな形であれ、制作した楽曲を世間に向けて一般公開するのであればミキシングは必要不可欠な作業です。

というのもレコーディング直後の音は非常に生々しく、とても1つの作品として公開できるサウンドではありません。

ミキシングは、レコーディングした生の音を高品質な音に変身させるための、いわば化粧のような役割です。

なおマスタリングは、ミキシングで定位や各帯域を綺麗に整えた2Mixでないと上手くいかないので、ミキシングの工程を飛ばしてマスタリングに移行することはできません。

MEMO
同じ音の素材を使ったとしても、ミキシングを行なうエンジニアによって仕上がりが全く異なります。

ミキシングで使用する機材

ミキシングで使用する機材

ミキシングで最低限必要な機材はPC・DAW・プラグイン・スピーカーorヘッドホン(イヤホン)です。

まずPCですが、ミキシングなどのDTMでは動作の安定性やソフトウェア・ハードウェアの互換性からMacを使用する個人・スタジオが多い傾向にあります。

DAWとは、Pro ToolsやCubaseをはじめとした楽曲制作に用いられるソフトウェアのことです。

プラグインは、DAWで使用されるコンプレッサーやEQなどのエフェクトのことで、DAW付属のプラグイン以外にも別途購入できます。

スタジオにミキシングを依頼するのであれば、これらの機材が比較的新しいバージョンで、豊富なプラグインを揃えているところがおすすめです。

これらに加えて、オーディオインターフェースやミキサーなどがあると、さらにできることの幅が広がります。

MEMO
スタジオではPro ToolsをメインのDAWとして使用しているところが多いです。

ミキシングの作業内容

ミキシングの手順はエンジニアによって異なりますが、作業内容自体に大きな違いはありません。

ここではミキシングの基本的な作業内容について解説します。

不要なリージョンを削除してノイズを消す

レコーディング直後の各トラックには、楽器が鳴っていない場所で話し声などの余計な音が入っていることがあります。

またボーカルはリップノイズ、ギターの場合は休符のタイミングでジーというホワイトノイズが鳴っていることが多いです。

波形のまとまりであるリージョンを編集し、これら不要な部分をカット・デリートします。

リージョンを動かしてタイミング・位相の調整

楽器のリズムがずれている場合、その部分のリージョンを動かして修正することが可能です。

演奏者を上手に見せることができるだけでなく、生楽器に打ち込みが入る場合は特に重要な作業と言えます。

なぜなら、生楽器がメトロノームにしっかりリズムが合っていないと、メトロノームに忠実な打ち込みが入ったときに違和感が生じてしまうからです。

また1つの楽器に複数のマイクを立てて録音すると、楽器からの各マイクとの距離間などの違いから位相ずれという現象が起きてしまいます。

位相ずれを起こすと音が後ろに引っ込んでしまいますが、リージョンを動かして波形を合せることで解消することが可能です。

MEMO
位相とは周期的な波形の揺れ方のことを言います。

プラグインを使っての音質補正

EQやコンプレッサーなどの音質補正系のプラグインを使って、各楽器の音質を整えていきます。

ドラムなどの場合、キック・スネア・タムなど各楽器を補正してから、さらに1つのドラムトラックにまとめて補正することが多いです。

ちなみにキックやベースなどの低音は下の方で聞こえ、シンバルやギターのジャキジャキした高音は上の方で聞こえる性質があります。

音質補正によって各楽器の役割をはっきりとさせることで、全体の上下の定位を決め、音の分離を良くすることが可能です。

空間系やエフェクトを使って味付け

リバーブやディレイなどの空間系のプラグインを使って、音に奥行きを与えて前後の定位を調整します。

また空間系のプラグインは、ウェット音や高級感を付加したり、各楽器同士を馴染ませるために用いられることも多いです。

さらに、曲調や楽器によっては音を歪ませたり、ラジオボイス・トレモロ・フェイザーなどトリッキーなエフェクトをかけることもあります。

アーティストやエンジニアの個性が強く出るポイントです。

パンで左右の音の定位を決める

各楽器のパンを調整して左右の音の定位を決めていきます

基本的にキック・ベース・スネア・ボーカルはセンターに配置し、ギター・シンバルなどの金物系・ピアノ・キーボードなどの装飾系を左右に振ってステレオ感を出すことが多いです。

しっかりとパンを振り分けることで、各楽器をクリアに聞かせることができます。

フェーダー・オートメーションで最終的な音量を調整

各楽器の音質補正が完了したら、フェーダーで最終的な音量を決めます。

また要所要所で音を大きく・小さくしたい場合は、各楽器にオートメーションを書くことで自動調整が可能です。

特にボーカルの場合は、1つのセクション内でも非常に細かくオートメーションを書く傾向にあります。

ミキシングで使用頻度の高いプラグイン

ミキシングでは用途に応じてさまざまなプラグインが使用されます。ここではその中でも特に使用頻度の高いプラグインを紹介します。

音のムラを抑えるコンプレッサー・マルチバンドコンプ

コンプレッサーは、主に設定した音量から飛び出した音を圧縮することで、音量のムラをなくすことに使用されます。

また強めにかけて奥に引っ込めたり、キックとベースに使用することでグルーブを生み出すサイドチェインコンプなど幅広い使い方が可能です。

ミキシングではEQと並んで非常に使用頻度の高いプラグインと言えます。

さらに、マルチバンドコンプと呼ばれるタイプもあり、こちらは各帯域ごとにコンプレッサーをかけることが可能です。

注意
コンプレッサーは、かけ過ぎるとダイナミクスがなくなり音がのっぺりしてしまいます。

周波数を整えるEQ

EQ(イコライザー)は、主に周波数を整える目的で使用されるプラグインです。

もこもこした中低域や耳に痛い高域をカットしたり、反対に足りない周波数をブーストすることができます。

EQで周波数帯域を整えることで、各楽器の上下の棲み分けが可能です。

また大胆に低域をカットして、あえてスカスカなサウンドにするなど、トリッキーな使われ方もします。

ずれた音程を修正するピッチ補正

アンタレス・オーディオ・テクノロジーズ社のAuto-Tuneに代表されるようなピッチ補正プラグインは、ボーカルのミキシングにおいて非常に重要です。

ずれた音程を修正することができるので、歌のクオリティをぐっと引き上げることができます。

また稀に楽器のピッチ補正に使用されたり、Auto-Tuneを使ってケロケロボイスを作ることも可能です。

音に奥行きや深みを与えるリバーブ・ディレイ

ミキシングで使用される空間系プラグインの中でも使用頻度が高いのが、リバーブとディレイです。

リバーブは音に広がり・深さ・奥行き・高級感などを付与することができます。

また露骨なリバーブサウンドを得るだけでなく、各楽器同士を馴染ませる目的で少しだけかけることも多いです。

ディレイは、リバーブと同様に音に広がりや立体感を付け加えるプラグインですが、反響音がよりはっきりとしています。

リバーブより音が埋もれにくく、存在感ある空間を演出でき、音の反響を利用してやまびこ効果を作ることも可能です。

MEMO
ボーカルトラックではリバーブとディレイをセットで使用することも多いです。

サチュレーターや歪み系などその他のエフェクト

サチュレーターとは、テープや真空管サウンドのようなアナログ感を付与するプラグインです。

デジタルサウンドの中であえて使用することで、独特の存在感を醸し出すことができます。

サチュレーターは歪み系プラグインに属しますが、過激な変化ではなく、違和感のないソフトな変化が特徴です。

なお強く歪ませる場合は、アンプシミュレーターや各楽器に適した歪み系プラグインを使用します。

ミシキングの1曲にかかるおおよその時間

ミキシングの作業時間は、曲やエンジニアの腕前によって大きく左右されます。

早ければ数時間で終わりますが、長ければ1曲に数日かかることも珍しくありません。

また料金体制が曲数ではなく時間制のスタジオが多いので、作業時間は金額に影響します。

さらにミキシングの流れもスタジオによってさまざまです。

エンジニアが1人で作業するおまかせミックスと、メンバーとエンジニアが一緒に作業を進める立会いミックスとで料金や作業時間が大きく変動します。

どのような曲がミキシング難易度が高く工数がかかるのか

ここではミキシングに費やす時間や難易度が変動するポイントを紹介します。

トラック数

トラック数は曲によってさまざまであり、作業時に大きく影響を与えるポイントの1つです。

ボーカルとアコギの弾き語りのような少ないトラック数であれば、ミキシングの作業時間は短く、難易度も低くなります。

反対に、ドラムだけで20トラック近くある場合や、大量のギターの重ね録り・装飾系楽器などでトラック数が多くなるほど作業時間は長く、難易度が高いです。

修正箇所の多さ

エディットやピッチ修正など、修正箇所の多さによって作業時間が変わります。

当然演奏者の技術が高く、修正箇所が少ないほど作業時間が短いです。

MEMO
エディットとはリズム修正などの波形編集作業のことを言います。

曲の長さ

曲の長さは、そのまま作業時間に影響を与えます。

曲が長いほど、通しで聴いたときの時間の長さやエディット箇所が増えるので、作業時間は長いです。

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