- カメラのレンズを清掃する方法
- レンズ清掃のための道具
- レンズのトラブルの対処法
目次
レンズをきれいな状態に保つのが重要な理由
カメラでの撮影において、レンズの状態はとても重要です。
レンズの汚れや傷があると、映像に影響してしまうからです。
さらに、手の脂などはそのまま放っておくと、カビの原因になることもあります。
レンズにカビが生えると、解像感が落ちてボヤっとした映像になったり、ゴーストが発生したりします。
レンズは使用後、すぐに清掃しましょう。
この記事では、正しいレンズ清掃の方法について紹介します。
動画撮影に絶対必要な機材は?レンズを清掃するための道具
レンズを清掃する場合は、専用の道具を使いましょう。
専用の道具以外では、ガラス面に傷をつけたり、コーティングにダメージを与えたりしてしまう可能性があるからです。
ここで紹介する道具は、レンズの清掃に必要なものですので、ぜひ準備してください。
埃を吹き飛ばすためのブロアー
レンズを清掃するためには、鉄則があります。
それは、最初にキレイな風でゴミを吹き飛ばすということです。
ゴミがついたままレンズを拭くと、そのゴミがヤスリのようにレンズを傷つけてしまう可能性があるからです。
必ず以下で紹介する道具を使いましょう。
シリコンブロアーブラシ
レンズ清掃の前に一般的に使われているのが、手動で空気を送るブロアーです。
ゴム球を潰すと、細い管の先から風が出る仕組みになっています。
レンズ清掃の際には、最初にゴミを吹き飛ばす必要があるので、ブロアーは必須です。
エアーダスター
ブロアーは手動で風を作り出しますが、エアーダスターはスプレーで風を送ることができます。
ブロアーと比較して、簡単に強力な風を出してゴミを飛ばすことができます。
以前は使い捨てのガス缶式のものが多かったですが、最近は電動エアーダスターが一般的になりつつあります。
胴鏡部分の清掃
レンズはガラス面だけではなく、胴回りの部分の清掃も必要です。
放っておくとリングがスムーズに回らなくなるとか、レンズの中にゴミが入るなどのトラブルを引き起こす場合があります。
ここでは、胴鏡部分の清掃に使う道具を紹介します。
ブラシ
胴鏡に付いたゴミは、カメラ用のブラシで掃き取ります。
特にフォーカスリングやズームリングの溝部分に入ったゴミは、ブロアーでは飛ばしづらいので、ブラシで直接掻き出します。
レンズの胴鏡部分だけでなく、カメラ本体にも使うことができるので、ぜひ一つ持っておきましょう。
クリーニングクロス
胴鏡部分には、目立ちませんが手の汚れもついているので、しっかりと拭き取る必要があります。
手の脂にゴミが付着してしまったり、カビの原因になったりするためです。
そういった汚れは、レンズ用のクリーニングクロスで拭き取ります。
レンズ部分の清掃
ブロアーでゴミは飛ばせても、手で触れてしまった脂などは拭き取らなくてはいけません。
そのままの状態で撮影すると、映像に影響してしまう上に、カビの原因になってしまうためです。
レンズのガラス部分は絶対に傷をつけないように、専用の道具を使いましょう。
レンズクリーニングリキッド
レンズクリーニングリキッドは、光学ガラス専用の洗浄液です。
レンズの表面は特殊なコーティングがされていますが、そういったものに悪影響を与えずに、手の指紋などの汚れを洗浄します。
このリキッドは、一部のプラスチック素材を変色させてしまうことがあります。レンズ面以外には付かないように、使用時には注意しましょう。
レンズクリーニングペーパー
レンズのガラス面は、レンズクリーニングペーパーを使って拭きます。
これにレンズクリーニングキッドを染み込ませて使うことで、レンズに傷をつけることなく汚れを拭き取ることができます。
先細型綿棒
レンズ面の周辺の溝に、汚れが残ってしまう場合があります。
その時は先細型綿棒の先の細い部分を使って、溝に沿わせて拭き取ることができます。
この場合も綿棒の先のレンズに触れる部分に、レンズクリーニングリキッドを付けて使います。
レンズを清掃する3つの手順
レンズを清掃する手順を紹介します。
まずは前準備としてレンズの付属品を清掃して、次に胴鏡部分、さいごにレンズ部分を清掃します。
特にレンズ部分は、傷をつけることがないように手順通りに清掃しましょう。
① 清掃の前準備
レンズ本体の清掃の前に、その付属品を清掃します。
付属品にゴミがついていたら、せっかくキレイにしたレンズに、またゴミがついてしまう可能性があるためです。
前準備として、付属品の清掃をする手順は次の通りです。
まずはレンズフードを外します。
レンズフードもブロワーをかけて、ゴミを飛ばします。
レンズキャップを外して、その内側にもブロアーをかけます。
フロントキャップ、リアキャップ、両方ともにゴミは飛ばしておきましょう。
レンズがカメラに付いている場合は、カメラから取り外して、両側にレンズキャップを付けます。
レンズを清掃する時は、レンズ単体で行いましょう。
② レンズボディー部の清掃
続いて、レンズの胴鏡部分を清掃します。
注意したいのは、清掃するときにレンズのボディーの中にゴミを入れてしまわないことです。
ゴミを払い飛ばしますが、その向きを間違えないようにしましょう。
まずはブラシで埃を払います。
ズームレンズの場合は、全て伸ばして、その繰り出し部分も払います。
この時、手前側から繰り出した先の方に向けてブラッシングすることで、ゴミがレンズに入ることを防ぐことができます。
ついで、ブロアーで埃を飛ばします。
この場合もゴミが入らないように、繰り出した部分は手前から先に向けて空気を送りましょう。
最後に、クリーニングクロスでボディーを拭きます。
クロスを片手の平に広げて、反対の手でレンズを持ち側面をクロスに当てます。
そのままレンズを横回転させると、全体を拭くことができます。
③ レンズ面の清掃
いよいよレンズ面、つまりガラス面の清掃です。
前玉と後玉の両方を清掃しますが、ここからの手順は前玉の清掃のやり方になります。
後玉は基本的にひどく汚れることはないので、ブロアーをかけるだけで十分です。
仮に後玉を指で触ってしまったなどという場合は、下記手順を後玉にも行ってください。
まず、レンズ面の埃をブロワーで飛ばします。
このとき、ブロワーをレンズに当てないように注意してください。
ほかにレンズ面に汚れがないようであれば、ここまでで清掃を終えても大丈夫です。
レンズ面に汚れがある場合は、レンズクリーニングリキッドで湿らせたレンズクリーニングペーパーで拭きます。
レンズの中央から、ゆっくりと円を描きながら周辺まで拭くことで、拭きムラを防ぎます。
手でレンズに触れないように注意しましょう。
レンズの周辺の溝に埃がある場合は、先細型綿棒を使います。
綿棒の先にレンズクリーニングリキッドを付けて、溝に沿わせることでゴミを拭くことができます。
最後に、レンズ上に残っているレンズクリーニングリキッドを、携帯用メガネ拭きで拭き取ります。
水分を残してしまうと、ゴミがついてしまうために、しっかりと乾かしてあげましょう。
レンズに問題があった場合の対処法
ここまでは、普段のレンズのメンテナンスとしての清掃について説明してきました。
ここからは、レンズに問題が起きた時の対処方法について、解説します。
レンズは油汚れや水滴には特に注意が必要ですので、対処法を知っておきましょう。
レンズ面の油汚れがある場合
料理の撮影などを行ったときに、油汚れがレンズ面に付いてしまうことがありますが、この時は特に気をつけなければいけません。
これを下手に拭こうとすると油が広がってしまうためです。
油汚れがついてしまった場合におすすめなのが、セーム革です。
セーム革は鹿の革をから作った天然のクロスのようなもので、柔らかくてレンズを傷つけない上に、油の吸着がとても良いのです。
購入してそのまま使うとけばけばしたゴミがついてしまうので、一度洗濯をしてから使いましょう。
セーム革は洗濯して繰り返し使うことができます。
レンズが濡れてしまった場合
レンズが雨などに濡れてしまった場合は、すぐに拭き取る必要があります。
水滴がレンズ内部に入ると、電気系統への影響やカビの発生を引き起こしてしまうためです。
拭くといっても擦らないように、タオルを押し当てて水滴を取りましょう。
レンズ内部に水滴が入りやすい場所は、次の3カ所ですので特に注意します。
- スイッチ部分
- ズームレンズの繰り出しの部分
- リング部分
レンズの中に埃が入ってしまった場合
レンズの中を見ると、小さな埃が入っている場合があります。
その場合は、まずはそのレンズを使って撮影をしてみましょう。
埃は小さい上にカメラセンサーに近いため、映像には写りこまない場合がほとんどですので、その場合は放置で大丈夫です。
もし埃が撮影に影響する場合には、自分で分解などせずにメーカーにメンテナンスの依頼をしましょう。
いつも写真の同じ場所に影ができてしまう場合
いつも写真の同じ場所に影ができてしまう場合、レンズの前玉部分と後玉部分を目視で確認します。
特に大きなゴミが付いていないならば、レンズではなくカメラのイメージセンサーが汚れている可能性が高いです。
その場合は、カメラのセンサーにブロワーで風を吹き付けて、ゴミを吹き飛ばします。
これで取れない場合はセンサーにオイルなどが付着している場合があるため、メーカーにメンテナンスの依頼をしましょう。