- CFexpress Type AとType Bの「サイズ・速度・容量・価格・対応カメラ」5軸の徹底比較
- PCIeレーン数の違いがデータ転送速度を決定する技術的メカニズム
- SONYはType A、Canon・Nikonは Type B という対応カメラの規格分裂の実情
- CFexpress 4.0でType Aも2GB/sに到達する将来展望と買い時判断
- XQDカードとの互換性とファームウェアアップデート対応の実例
- 用途別・予算別の最適なCFexpressカード選び方ガイド
カメラの動画性能と連写性能が爆発的に進化した結果、従来のSDカードでは記録速度が追いつかなくなり、新世代の記録メディアとして登場したのがCFexpressカードです。パソコン用のM.2 NVMe SSDと同じPCIeインターフェースを採用しており、SDカードを大きく上回る転送速度を実現しています。
ただ、CFexpressには「Type A」「Type B」「Type C」という3つの規格があり、自分のカメラがどれに対応しているか把握しないまま購入すると「カメラに装着できない」「速度がフルに出ない」といったトラブルに直結します。特に Type AとType Bは見た目が似ていて混同しやすく、購入前のチェックが重要です。
本記事では、Type AとType Bの違いを「サイズ・速度・容量・価格・対応カメラ」の5軸で徹底比較し、自分の撮影スタイルとカメラ機種に最適な1枚を選び取れるよう、編集部の実機検証ベースで体系的に解説します。
結論:CFexpress Type AとType Bはどう違うのか
長い解説を読む時間がない方向けに、結論から先にまとめます。
CFexpress Type A/Type B/Type Cの仕様比較
| 規格 | サイズ | 転送速度(理論最大) | PCIeレーン数 | 主な対応メーカー | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| Type A | 20.0×28.0×2.8mm | 1GB/s | 1レーン | SONY | αシリーズ・FXシリーズ |
| Type B | 29.8×38.5×3.8mm | 2GB/s | 2レーン | Canon/Nikon/Fujifilm/Panasonic等 | 多数のミラーレス・一眼 |
| Type C | 54×74×4.8mm | 4GB/s | 4レーン | (規格のみ・未発売) | 業務用ビデオカメラ向け |
CFexpress 2.0規格時点での主要スペック比較
Type AとType Bの違いを技術仕様で徹底比較
ここからは、Type AとType Bの違いを5つの軸で詳細に解説していきます。
① 物理サイズの違い

Type AとType Bは見た目の形状は似ていますが、サイズには大きな違いがあります。
Type AはSDカードよりも小型なため、カメラボディの小型化に貢献するメリットがあります。一方、Type Bは XQD カードと同サイズで、すでに業務用カメラ業界で普及していた XQD のフォームファクタを継承しているのが特徴です。
② データ転送速度の違い(PCIeレーン数が決め手)
Type AとType Bの最大の違いはデータ転送速度で、これは内部のPCIeレーン数によって決まります。
PCIeレーン数が2倍になることで、理論上の転送速度も2倍になります。Type Bが Type A より約2倍高速なのは、この物理的なレーン数の違いに起因しています。
ただし、4K動画撮影や高速連写の用途では、Type Aの1GB/sでも十分なケースが多いのが実情です。8K120pなどの極端な高負荷撮影でなければ、Type Aで困ることは多くありません。
③ 容量ラインナップの違い
Type AとType Bでは、市場に流通している容量ラインナップにも差があります。
Type Bはメーカー数が多いため大容量モデルの選択肢も豊富で、長時間撮影や高解像度RAW収録には有利です。Type Aは大容量モデルが限定的かつ高価で、運用コストはどうしても上がります。
④ 価格相場の違い
価格面では、同容量比較でType AのほうがType Bより1〜3割ほど割高な傾向があります。
価格差の主因は市場規模の違いです。Type Bは Canon、Nikon、Fujifilm、Panasonic など多数メーカーが採用しているため需要が大きく、SanDisk、Lexar、Delkin Devices など多くの製造メーカーが参入して価格競争が起きています。Type AはSONY、ProGrade Digital、Nextorage など限定的なメーカーのみで、量産規模が小さいぶんGB単価が高めです。
⑤ 対応カメラの違い
Type AとType Bは互換性がなく、カメラが対応している規格に従う必要があります。次の章で具体的な機種別の対応規格を整理します。
対応カメラ完全リスト:自分のカメラはどっち?
カメラメーカー別の主要なCFexpress対応機種を整理しました。購入前にお手持ちのカメラ(または購入予定のカメラ)が下記リストのどこに該当するかチェックしてください。
SONY製カメラ(Type A対応)
SONYは現時点で唯一Type Aを採用しているメーカーです。Type AとSDカードの両方をスロット共用できる設計を採用しており、ユーザーが既存のSDカード資産を活かしつつ徐々にType Aへ移行できる柔軟性があります。
参考リンク:SONY公式 CFexpress Type A製品ページ
Canon製カメラ(Type B対応)
CanonはCFastからCFexpress Type Bへ移行した経緯があり、フラッグシップ機を中心にType Bを採用しています。
Nikon製カメラ(Type B対応)
NikonはXQDからCFexpress Type Bへの移行をファームウェアアップデートで対応した先駆け的な存在です。
Fujifilm/Panasonic等(Type B対応)
CFexpress Type Cの位置づけと現状
CFexpress Type Cは、業務用ビデオカメラでの使用を想定して開発された規格です。
CFexpressとSDカードの違い
「そもそもなぜCFexpressが必要なのか?SDカードでは足りないのか?」という疑問を持つ方向けに、両者の違いを整理します。
速度の違い
CFexpressとSDカードの速度比較
2026年現行規格での理論最大値比較
CFexpressは最高速のUHS-II SDカードと比較しても約5〜6倍の書き込み速度を持ちます。8K動画やRAW連写では、この速度差が直接「撮影中断の有無」に直結します。
価格の違い
CFexpressはSDカードに比べて高価ですが、近年は価格が低下傾向にあります。特に Type Bは大容量モデルでも価格競争が進んでおり、性能差を考えれば投資価値は十分にあります。
サイズの違い
すでに前述の通り、Type AはSDカードより小型、Type BはSDカードより大型です。Type Bの厚み(3.8mm)はSDカード(2.1mm)の約1.8倍あるため、ポケット携行時のかさばり感はやや大きくなります。
CFexpressを選ぶ3つのポイント
具体的なCFexpressカードを選ぶ際にチェックすべき3つのポイントを整理します。
① 自分のカメラの対応規格を確認する
最も重要なのは、繰り返しになりますがカメラの対応規格です。SONYカメラなら Type A、Canon/Nikon/Fujifilm/Panasonic ならほぼ Type B、というのが現状の規格分布です。
カメラの取扱説明書、メーカー公式サイトの仕様ページ、あるいは「(カメラ機種名)対応CFexpress」で検索して確認してから購入してください。
② 用途別の必要容量を見積もる
③ 最低持続速度(VPG)に注目する
CFexpressのスペック欄には「最大書込速度」「最大読出速度」「最低持続速度」が記載されています。最も重要なのは最低持続速度です。
最低持続速度はVPGプロファイルとして規格化されており、VPG200(200MB/s持続保証)、VPG400(400MB/s持続保証)などの表記で示されます。長時間の動画撮影では、この VPG値が高いほど撮影中断のリスクが下がります。
CFexpressカード人気メーカー4選
CFexpressカードの主要メーカー4社の特徴を整理します。
ProGrade Digital:世界同一価格・同一保証で安心
ProGrade Digitalは、価格と保証の透明性で業界トップクラスのメーカーです。
- 世界同一価格制度で為替リスクなし
- 世界同一保証で海外撮影時も安心
- プロが認める品質と安定性
- Type A/Type B両方をラインナップ
- 国内流通価格はやや高め
- セール対象外でディスカウント期待しにくい
- 大容量モデルは品薄になりやすい
- エントリー向けの低価格帯は少ない
特に海外撮影が多い方にとって、世界同一保証は大きなアドバンテージです。
SanDisk:種類が豊富なトップシェアメーカー
SanDiskは、メモリーカード市場全体でトップシェアを持つ老舗メーカーです。
- 製品ラインナップが業界最多
- 価格帯が手頃で入手しやすい
- Type B大容量モデルが充実
- 無料データ復旧ソフトが付属するモデルあり
- Type A製品は限定的
- 純正品保証がメーカー直販に集中
- サードパーティ品との見分けが難しい場合がある
- プロ向けハイエンド帯は他社が優勢
SUNEAST:高コスパ製品を作る新進気鋭メーカー
SUNEASTは2017年設立の日本国産メーカーで、近年急速にシェアを伸ばしています。
- 価格に対する性能が業界トップクラス
- 2TBなどプロ仕様の大容量モデルに強い
- 国産ブランドの安心感
- サポート対応が日本語で完結
- ProGradeほどの世界保証はない
- 流通量が大手より少ない
- 認知度が高くなく中古市場が小さい
- Type A製品はラインナップが薄い
SONY:カメラメーカー純正の高品質
SONYはαシリーズやFXシリーズを展開する大手カメラメーカーで、自社カメラとの互換性を完璧に保証する純正カードを提供しています。
- SONYカメラとの互換性が完全に保証される
- TOUGHシリーズの耐久性が業界最高水準
- プロ現場での実績が豊富
- Type A対応の代表メーカー
- サードパーティに比べて価格が高い
- ラインナップ展開がType A中心
- 大容量モデルは流通量が少ない
- セールでも値下げ幅は控えめ
プロの現場でトラブルが許されない撮影には、SONY純正の安心感は他に代えがたいものがあります。
用途別おすすめCFexpressカード
撮影スタイル別の最適なCFexpressカードを5つピックアップします。
コスパ最強なCFexpressカード
コストパフォーマンスを最優先するなら、SUNEAST ULTIMATE PRO/CFexpress Type Bカード(128GB)が現実的な第一候補です。
128GBで4K撮影に十分な容量を確保しつつ、価格は2万円弱と手頃。これからCFexpress Type Bデビューする方の最初の1枚として最適です。SUNEASTは国産メーカーなので、サポート面の安心感もあります。
4K撮影におすすめのCFexpressカード
4K動画撮影が中心なら、ProGrade Digital GOLD 1700R(256GB)が編集部推奨です。
256GBで約7時間の4K動画撮影が可能。ProGrade Digitalの「世界同一価格・同一保証」が適用されるため、海外案件でも安心して運用できます。プロビデオグラファーの間でも採用率が高い、信頼性重視の選択肢です。
長時間撮影におすすめのCFexpressカード
容量最優先で長時間撮影に特化するなら、SUNEAST ULTIMATE PRO/CFexpress Type Bカード(2TB)が業界トップクラスの選択肢です。
2TBの大容量で8K撮影にも余裕で対応。価格は10万円前後と高額ですが、GB単価で計算すると意外にコストパフォーマンスは良好です。長時間連続収録が必要なドキュメンタリー撮影、結婚式撮影、イベント撮影で威力を発揮します。
プロユースにおすすめのCFexpressカード
プロフェッショナル用途で絶対にトラブルが許されない撮影には、SONY純正のCFexpress Type B メモリーカード(512GB)が最も信頼できる選択肢です。
価格は70,000〜80,000円と相場よりやや高めですが、その分カメラとの互換性検証が徹底されており、撮影現場でのトラブル発生率は業界最低水準です。商業案件・報道・スポーツなど、撮り直しが許されない一発勝負の撮影では純正品の安心感が圧倒的です。
SONYのαシリーズにおすすめのCFexpressカード
Type A対応カメラをお使いなら、SONY CEA-G160T TOUGH(160GB)が定番の選択肢です。
「TOUGH」シリーズは耐久性に特化しており、落下強度7.5m、防塵防水性能IP57という業界最高水準のタフネス性能を持っています。海・山・砂漠などの過酷な撮影環境でも安心して使える、まさに「SONY純正らしい」高品質カードです。
CFexpressカードリーダー/ライターの選び方
CFexpressカードを使いこなすには、対応するカードリーダー/ライターも必要です。
カードリーダー選びの3つの注意点
ProGradeのカードリーダーはUSB 3.2 Gen2対応で、CFexpress Type Bの読み出し速度をフルに引き出せます。価格は約13,000円とやや高めですが、長期間にわたって安定動作する信頼性で評価が高い選択肢です。
カメラ周辺機材の効率化を図るなら、撮影中のメディア交換と並行してクイックリリースシステムの導入も検討する価値があります。三脚・ジンバル間の素早い乗せ換えで、撮影テンポを一段引き上げられます。
CFexpressに関するよくある質問
動画撮影の音楽素材も準備しておこう
CFexpressに投資して高品質な動画素材が撮れるようになったら、次の制作工程で必要になるのが BGM や効果音などの音楽素材です。
撮影した動画のクオリティに音楽素材が追いつかないと、せっかくの高画質映像の魅力が活きません。フリー素材は商用利用に制約があったり楽曲数が限られていたりするため、ロイヤリティフリー素材サブスクの活用が定番ルートになっています。
Artlistの無料体験の素材は商用利用できる?月額料金はいくら?で、無料体験でできること・できないこと、有料プランの選び方を解説しています。CFexpressへの投資と並行して、音楽素材の調達ルートも確保しておくと、動画制作のフルパイプラインが整います。
撮影機材全体の選び方については動画撮影に絶対必要な機材は?に体系的にまとめてあります。料理動画や物撮りで俯瞰アングルを多用する方は真上から俯瞰撮影するのにおすすめの機材も合わせて参照してください。
まとめ:CFexpress選びは「カメラ規格 × 用途容量」で決まる
CFexpressカード選びは、選択肢の多さに圧倒されがちですが、判断基準はシンプルです。
第一段階:自分のカメラが Type A か Type B のどちらに対応しているかを確認する。SONYなら Type A、それ以外のメーカーならほぼ Type B です。
第二段階:撮影スタイルから必要容量を見積もる。趣味なら 128GB、4K動画なら256〜512GB、8Kやプロ用途なら1TB以上が目安です。
第三段階:最低持続速度(VPG値)でカードを選ぶ。最大値ではなく、長時間連続書込時の保証速度を基準にすることで、撮影中断のリスクを最小化できます。
価格と性能のバランスを取りたいなら ProGrade Digital や SUNEAST、絶対的な信頼性を求めるなら SONY純正、コスパ重視なら SanDisk といったメーカー使い分けが現実的です。CFexpress 4.0の世代交代も視野に入れつつ、現時点で必要な性能を満たす1枚を選んでください。
映像・楽曲制作に携わるプロフェッショナル編集部。実機検証ベースのレビュー・比較記事を80本以上公開しています。








